【[検証]アメリカンスタンダード 7】 日本の経済学は「鸚鵡の経済学」

執筆者:田村秀男 2004年1月号
エリア: アジア

もっぱらアメリカを見て物を言い、横のものを縦にするだけの日本経済学――。それをいいことに、日本の実情に合わない理論を押し付けて、実験場扱いのアメリカ人学者があとを絶たない。 アメリカの経済学者は日本の経済学のスタンダードである。アメリカの有力経済学者がワシントンで要職に就くと、日本経済をアメリカ流に解釈しては日本の経済政策に注文を付ける。終戦時のGHQ(連合国軍総司令部)さながらだが、当時の日本にはきちんと反論、抵抗する気骨ある経済学者も政治家もいた。だが、今や日本の経済学者の多くが鸚鵡のごとくアメリカの学者をまねる。アカデミズムがそうだから、官僚も政治家も安心して対米追従を競う。ワシントン詣でをして「ご託宣」を聞いては東京に持ち帰ってお守りにする。黒澤明の『七人の侍』を知らない無知な若者が、ハリウッド映画『ラストサムライ』の描くサムライ精神を本物だと評価するような倒錯現象が日本の経済学者の世界で起きる。

カテゴリ: 経済・ビジネス 政治
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