「商人―実業家―資本家―という順序を追って、その次に出てきたのがいま大変人気のある経営者という名前といってよかろう」(笠信太郎『“花見酒”の経済』) * 六月二十六日付の新聞各紙に載った『UFJ、国際興業の再建計画を見直し』というニュースを読みながら、国際興業とともに、小佐野賢治が歴史の彼方に消えつつあることを実感した。 記事には『帝国ホテル株売却、創業者一族の資産処分も』ともある。帝国ホテル会長の座は、政商と呼ばれ、数兆円の資産家とは言われても、ついにただの一度も経営者と呼ばれることのなかった小佐野が、死の直前にたどりついたポストであった。もし彼が、ソフトバンクの孫正義や日本電産の永守重信がもてはやされる現代に生まれていたなら、これほど“不当”に低い評価に甘んじることはなかったかもしれない。
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