継承されなかった吉兆・湯木貞一の「経営」

執筆者:喜文康隆 2008年1月号
タグ: 日本

「身死して財残る事は、智者のせざる処なり。よからぬ物蓄へ置きたるもつたなく、よき物は、心を止めけんとはかなし。こちたく多かる、まして口惜し」(吉田兼好『徒然草』第百四十段)     *「船場吉兆」の偽装表示の刑事事件化をきっかけに、名門料亭「吉兆」が揺れている。 九州の百貨店「岩田屋」に出店していた船場吉兆による菓子類の消費期限改竄問題に端を発し、数々の偽装発覚と言い逃れが重なり、そして船場吉兆本店で「佐賀牛を但馬牛と偽っていた」という事実が発覚するに及び、ブランドは地に落ちた。吉兆グループ全体を揺るがしかねない事態であり、他の吉兆グループからは「創業者の湯木貞一の名を汚した」「吉兆の名を返上して貰いたい」といった批判が飛び交っている。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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