「カンザスの変」で暗雲垂れ込める「共和党両院支配」

執筆者:足立正彦 2014年10月10日
エリア: 北米

 ごく最近まで、2014年中間選挙で共和党が上院でも多数党に復帰する可能性が高いとの見方が、米国政治の専門家や主要メディアの間で共有されていた。ところが、11月4日の投票日まで1カ月足らずとなったここにきて、その可能性は五分五分ではないかとの見方が広がりつつある。

 

無党派の「ロバーツ離れ」

 最近、とりわけ大きな関心を集めている上院議員選挙区がある。それはカンザス州だ。今年8月5日に実施された同州選出の上院議員選挙の共和党予備選挙で、ティーパーティー(茶会党)系勢力が熱心に推した保守派候補であるミルトン・ウルフ氏を現職のパット・ロバーツ上院議員が得票率7ポイント差で破った。これで4選を目指すロバーツ氏の議席維持は確実と見られていた。ところが、無所属候補として出馬している45才の若き実業家グレッグ・オーマン氏が、8月中旬からロバーツ氏をリードする展開となった。そして実際、10月5日に公表されたNBC放送とマリスト・カレッジが共同で行った最新世論調査では、オーマン支持が48%であったのに対してロバーツ支持は38%と低迷し、10ポイントもの大差が開いていることが判明したのだ(9月27日から10月1日の5日間、カンザス州有権者636名を対象に実施。誤差の範囲は±3.9ポイント)。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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