「感染症研究」で考える「内需依存型経済」から脱する道

執筆者:白戸圭一 2015年11月17日
エリア: アフリカ

 2015年のノーベル医学生理学賞受賞が決まっている北里大学特別栄誉教授の大村智氏ら研究者3人の授賞式は、12月10日にストックホルムで行われる。日本のメディアでは当然ながら大村氏にスポットライトが当たるが、マラリアの治療薬アルテミシニンの発見で受賞する中国の女性研究者、屠呦呦氏の業績も、大村氏に優るとも劣らない偉業である。結核、HIVと並ぶ世界3大感染症のマラリアは、この薬の発見により、適切な治療を受ければ多くが完治する疾患となったからである。

マラリア死者は年間58万人

 個人的な経験談で恐縮だが、西アフリカのコートジボワールで仕事をしていた2006年6月、マラリアに罹患したことがある。南アフリカの自宅に戻って1週間ほどしたころ、微熱や肩凝りなど風邪のような症状があり、やがて40度近い高熱を発して倒れた。かかりつけの南ア人医師に簡易検査してもらったところマラリアであることが判明し、総合病院に緊急入院となった。

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執筆者プロフィール
白戸圭一(しらとけいいち) 立命館大学国際関係学部教授。1970年生れ。立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。毎日新聞社の外信部、政治部、ヨハネスブルク支局、北米総局(ワシントン)などで勤務した後、三井物産戦略研究所を経て2018年4月より現職。著書に『ルポ 資源大陸アフリカ』(東洋経済新報社、日本ジャーナリスト会議賞受賞)、『日本人のためのアフリカ入門』(ちくま新書)、『ボコ・ハラム イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織』(新潮社)など。京都大学アフリカ地域研究資料センター特任教授、三井物産戦略研究所客員研究員を兼任。
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