経済の頭で考えたこと
経済の頭で考えたこと(103)

米「INF全廃」離脱に見える「核なき世界」追求の衰え

執筆者:田中直毅 2018年10月29日
1987年12月、INF全廃条約に調印するレーガン米大統領(右)とゴルバチョフ・ソ連書記長。ワシントンにて (C)AFP=時事

 

 1987年12月に米ソ間で中距離核戦力(INF)全廃条約が結ばれた。ロナルド・レーガン米大統領とミハイル・ゴルバチョフ・ソ連共産党書記長(いずれも当時)との間に成立した核軍縮への第一歩という道程の位置づけを巡って、当時も諸説があった。

 私もこれにコメントをしたが、今から思えば、当時は歴史的意味を過少にしか評価できなかったと言ってよい。それは、1980年代が米ソ間のみならず、欧米全域をも巻き込んだ苛烈な核戦争の脅威が幾重にも広がった、ということで特徴づけられることに由来する。核の脅威からの脱却を図る人類の英知の存在を疑問視していたわけではないが、英知を引き裂く産軍複合体のエゴが両陣営に根深く存在している点を、どう受け止めるかがポイントだった。暗部を当時の私は余りにも過大視していたと言える。

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執筆者プロフィール
田中直毅 国際公共政策研究センター理事長。1945年生れ。国民経済研究協会主任研究員を経て、84年より本格的に評論活動を始める。専門は国際政治・経済。2007年4月から現職。政府審議会委員を多数歴任。著書に『最後の十年 日本経済の構想』(日本経済新聞社)、『マネーが止まった』(講談社)などがある。
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