経済の頭で考えたこと (102)

米中「経済摩擦」激化で日本企業が抱えかねない「市場リスク」

執筆者:田中直毅 2018年7月13日
エリア: 北米 アジア
 

 中国の指導層の自国認識の正確性については、相当疑ってかかった方がよい。多分最大の理由は、共産党の内部における縦割り組織(サイロ)の内部の錯綜度が、他の組織からは伺う術(すべ)もないほどになっているからだろう。この点は組織の末端での事態にとどまらず、トップレベルでも生じていると考えるべきだ。

 昨今で最も明らかになったのは、習近平中国共産党総書記(国家主席)と中国人民解放軍幹部との間の齟齬であろう。南シナ海での領有権を確立するために、中国は島嶼地帯での埋め立てと港湾づくりを始めた。しかし2015年9月にホワイトハウスを訪問した習近平総書記は、スプラトリー諸島の拠点の軍事化を否定した。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top