全人代でも「漢語」普及を強調:習近平「少数民族同化政策」に潜む脆さ

執筆者:樋泉克夫 2022年3月19日
エリア: アジア
「共同体意識の強化」が裏目に出ないとも限らない(C)時事
少数民族に対する漢化・同化策を推し進める習近平政権だが、それは本来、多様な言葉・文化の融合を基盤にしていた中華文明のダイナミズムを自ら否定する行為に他ならない。そこに習近平政権の脆さが潜んではいないだろうか。

 

 ロシア軍のウクライナ侵攻に世界の耳目が注がれていたからだろう。3月5日から11日にかけて北京で開催されていた今年の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)に対する内外メデイアの関心は例年に較べ低く、関連報道も断片的に過ぎたようだ。

 だが、今秋の第20回共産党全国代表大会で政権3期目続投が“既定の路線”とされている習近平政権の今後――とりもなおさず近未来の中国の在りようのみならず、我が国はもちろん、これからの世界の動きを左右する――を考える上で、今年の全人代は例年にもまして重要であることは、敢えて強調するまでもないだろう。

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カテゴリ: 政治 カルチャー 社会
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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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