ロシア・ウクライナ戦争が中国の台湾侵攻シナリオに与える影響(上)

執筆者:山口信治 2022年5月13日
エリア: アジア ヨーロッパ
中国はロシア・ウクライナ戦争をどう見ているのか(C)EPA=時事
大方の予想に反してロシアが苦戦することとなったウクライナ戦争は、中国にどのような衝撃をもたらしたのか。台湾侵攻において重視される「情報戦」という観点から考察する。(後半はこちらのリンク先からお読みいただけます)

 

 2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、当初の大方の予想と異なり、ロシア軍が苦戦し、首都キーウ(キエフ)をはじめ多くの大都市を陥落させるには至らず、戦争は長期化の様相を呈している。この戦争は、軍事作戦、情報戦、経済制裁など様々な側面を有し、その意味で現代における「新しい戦争」のあり方を示す材料となるだろう。

 中国はこの戦争をどのように見て、何を現実認識として学ぶのだろうか。またそれは将来起こるかもしれない台湾侵攻作戦にどのような影響を及ぼし得るだろうか。

カテゴリ: 軍事・防衛 政治
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執筆者プロフィール
山口信治(やまぐちしんじ) 防衛省防衛研究所地域研究部 中国研究室 主任研究官。専門は中国政治・安全保障、中国現代史、中国の党軍関係、米中関係。慶應義塾大学法学部卒業後、同大学院を経て防衛研究所に入所。2015年から現職。単著に『毛沢東の強国化戦略』(慶應義塾大学出版会、2021年、アジア太平洋賞大賞受賞)、共著に川島真・小嶋華津子編『習近平政権の目指す中国――理念・政策・課題』(東京大学出版会、近刊)、川島真編『ようこそ中華世界へ』(昭和堂、2022年)、『防衛外交とは何か―平時における軍事力の役割』(勁草書房、2021年)、『よくわかる現代中国政治』(ミネルヴァ書房、2020年)、『現代中国の政治制度-時間の政治と共産党支配』(慶應義塾大学出版会、2018年)、『中国対外行動の源泉』(慶應義塾大学出版会、2017年)などがある。
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