会場奥のGCAPブースに展示された長さ3メートルほどの機体模型を見る限り、その基本形状は、V字尾翼のステルス性を重視した大型双発戦闘機という昨年12月に発表された各種イメージを踏襲したものであった。そうした中で、筆者は、イメージからは窺えなかったエンジンノズルの形状と配置に興味を抱いた。
防衛装備庁は次期戦闘機開発を視野に入れた要素技術研究の中で、「失速後機動(PSM)」を可能にする推力偏向エンジンノズルXVN3-1を研究してきた。従来のエンジンノズルは推力の方向が一定であるため、空力舵面による機体制御では高機動時に大きな旋回を伴う。それに対してXVN3-1は上下左右(360度)方向20度に推力を偏向することで、機体を意図的に失速させ、大きな旋回を伴うことなく、その場で機首を敵に向けるような機動が可能となる。
ただし、上下左右三次元に推力偏向可能なノズルを実装すれば、その機能を発揮させるためにノズルを後部に露出させる必要があり……(続きを読む)。

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