AI(人工知能)ビジネスの雄ソフトバンクグループ(SBG)がくしゃみをすると、日本株全体が風邪をひく。11月半ばになって日本の株式市場はそんな様相を呈している。11月14日の日経平均株価は一時1000円あまり下落し、905円30銭安の5万376円53銭で取引を終えた。下げへの寄与度(何円分だけ日経平均を押し下げたか)をみれば一目瞭然だろう。
アドバンテスト=307円08銭、SBG=280円81銭、東京エレクトロン=208円08銭。半導体検査装置の大手アドバンテスト、SBG、半導体製造装置の大手である東京エレクトロン。この3社の日経平均下落への寄与度は合わせて795円97銭。225社で構成する日経平均の下落幅905円30銭の、実に88%にものぼる。
1620円93銭安の4万8702円93銭となった11月18日も、下げへの寄与度はSBG=304円84銭、アドバンテスト=197円88銭、東京エレクトロン=182円50銭。AI関連3兄弟の日経平均下落への寄与は42%。(ツメル)(ツメル)日経平均が5万円の天井を突破し、10月31日に5万2411円34銭の史上最高値をつけた原動力となったAI関連3銘柄が逆回転を起こしているのだ。
「高市ラリー」のさなかの日経平均の225銘柄は、昇り龍のようなAI3銘柄と残り222銘柄に、クッキリ分けられた。街行く人々ばかりでなく、AI3銘柄の投資に出遅れた投資家たちが「株高の実感が伴わない」というのも、あながち誇張ではない。
日経平均を押し上げた「AI3銘柄」が抱える懸念
値がさ株(株価が高い銘柄)の影響を受けやすい日経平均と、東証プライム市場のほとんどの銘柄で構成されているTOPIX(東証株価指数)。植田和男日銀総裁が10月29日の月例経済報告関係閣僚会議に提出した資料に基づき、2つの指数を比べてみよう。AI3銘柄を原動力とした日経平均の上昇ピッチの速さが見て取れるはずである。
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