Q.8 三井と住友の「財閥大合併」は成し遂げられるか

執筆者:安西巧 2000年12月号
タグ: 日本
エリア: アジア

YES 70% 二〇〇一年四月に「三井住友銀行」が誕生する時点で、二つの旧財閥の融合は半ば達成されたと考えるべきだ。金融資本こそが財閥形態の企業集団を支えるバックボーンである。二つの銀行の合併は、生き残りを模索する系列各社の経営者たちにすでに新たな方向性を与えつつある。 三和系の日本火災海上保険、興亜火災海上保険との統合を一度は発表した三井海上火災保険が、今年二月にその三社統合を白紙撤回し、一転して住友海上火災保険との合併を決めたのは、まさに三井住友路線への軌道修正。昨年十月、さくら=住友合併の第一報を聞いた三井海上の首脳が、「(合併相手は)三和じゃないの」と思わず口走ったという逸話は、三井系企業の経営者心理を如実に表している。

カテゴリ: 経済・ビジネス 政治
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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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