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〜国際情勢の重要人物を徹底解説!〜
中国

李幹傑
り・かんけつ、 リ・ガンジエ

共産党中央組織部長

1964年11月生、湖南省長沙市

清華大学工学物理学部核原子炉工学専攻(1981~86年)卒業、同大学核エネルギー技術研究所核原子炉工学・安全専攻修士課程(1986~89年)

習近平の母校である清華大学で、核エネルギーを学んだテクノクラート。修士課程修了後、国家核安全局に就職。1990~91年に北京第二外国語学院でフランス語を勉強し、91年から1年3カ月間、原子力の先進国であるフランスで原子力安全と放射線防護を統括する研究機関で学んだ。帰国後の93年以降、国家核安全局で核原子炉を担当し、98年には国家環境保護総局で原子力安全と放射能部門で課長を務めた。99~2000年には駐仏大使館で科学技術担当の一等秘書官。

2000年以降も、原子力安全政策の専門家としてキャリアを積み、06年に国家環境保護総局副局長兼国家核安全局長に就任。08年に省に昇格した環境保護省で次官を8年間務めた。

河北省党委副書記を短期間(2016年10月~17年5月)務めたが、環境保護相(~18年3月)、生態環境相(~20年4月)を歴任。20年4月から山東省省長代理、省長、同省党委書記と昇格を続け、 22年10月の党大会で政治局委員に就いた。2023年4月下旬にベトナム共産党幹部と会談した際、党中央組織部長に就任したことが判明した。

8年間の環境保護次官時には、中国国内で深刻化した微小粒子状物質(PM2.5)の対応に当たり、生態環境よりも経済成長を優先する風潮を批判した。2013年5月、日中韓3カ国の環境相会合が北九州市で行われたが、尖閣諸島などの問題で日中関係が緊張する中でも、次官だった李幹傑は、欠席した周生賢環境保護相の代理として訪日した。19年11月には生態環境相として同じく北九州市で行われた日中韓環境相会合にも出席し、小泉進次郎環境相(当時)と会談した。

習近平としては、これまで直接の上司・部下関係ではなかった李幹傑だが、「核」と「生態」の安全を維持、改善する仕事で成果を収めたことを高く評価し、共産党の人事と組織を統括する要職に抜擢したとみられる。1964年生まれで若いことから、政治局常務委員会入りが有力視される。

(執筆・監修:城山英巳

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