クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?
クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?

国が消える

徳岡孝夫
執筆者:徳岡孝夫 2011年1月14日
エリア: ヨーロッパ 日本

 今年の正月、家電量販店で福袋を買ったら電気自動車(EV)が入っていたというのが最大の話題だった。だが早合点は禁物。そういうのはあくまで1つの話題作りに過ぎず、EVが今年中にも飛躍的に売れ出したり、需要の主役になったりする前兆ではない。  景品作戦は、むしろ売る側の必死の売り込み、同業者間の倒すか倒されるかの熾烈な関係を語っているに過ぎない。 「ハイオクを満タン」と命じれば、たちまち入る。「有難うございましたァ」の声を尻目に、さあ地の果てまでも行くぞと自信満々にガソリンスタンドを出ていくあの愉快。EVは、ああいうエゴの満足をドライバーに与えない。なのにEVの値段は、今のところハンパじゃなしに高いのである。  国内需要を引っ張る目玉商品がない。洗濯機からデジカメまで、日本人はすでに高性能なのを持っている。今年はエコ減税も地デジの買い替えも減る。大々的に広告して「これを買えばあなたは幸福になれる」と売り込めるような新商品がない。沼のようなデフレ。  政界には、相変わらずネコの首に消費税の鈴を付ける勇気ある政治家がいない。新年度の予算を賄う歳入の半分近くは国民からの借金(国債)である。総人口が減り始めている国の誰が、それを引き受けてくれるのか。

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執筆者プロフィール
徳岡孝夫
徳岡孝夫 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
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