寒い国から来るスパイ

執筆者:名越健郎 2012年8月17日
エリア: ヨーロッパ

 7月3日のメドベージェフ・ロシア首相の北方領土・国後島視察で、日露関係は再度冷え込むかにみえたが、7月28日のソチでの玄葉外相とプーチン大統領の会談後、多少好転している。今秋、同大統領に近いパトルシェフ安全保障会議書記が訪日する予定であることもその現われだろう。

 在京ロシア筋によれば、パトルシェフ氏は日本側と東アジアの安全保障問題や密漁対策、情報交流などを討議する。訪日すれば、野田首相と会談する可能性もある。訪問準備のため、安保会議のルキヤノフ副書記が9月に訪日するという。

 サンクトペテルブルク出身のパトルシェフ氏は、サンクト派のシロビキ(武闘派)に属する。プーチン大統領とは旧ソ連国家保安委員会(KGB)の同期で、若い頃KGBレニングラード支部で一緒に働き、親交を深めた模様だ。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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