80時間世界一周
80時間世界一周(3)

キオスクで買えるカラシニコフ

竹田いさみ
執筆者:竹田いさみ 2004年11月号
カテゴリ: 国際
エリア: ヨーロッパ ロシア

 見知らぬ町を訪れると、かならず足を運ぶ場所が二カ所ある。一つは中央駅で、二つ目がマーケットだ。お目当ての中央駅がない町ならば、バスのターミナルを覗く。 中央駅やバス・ターミナルに佇んでみると、その町の規模や地理的な広がり、さらに市民生活の断片をつかむことが出来る。肉、魚、野菜、穀物、香辛料、花、雑貨品を並べるマーケットも同じだ。緑黄色野菜が鮮やかな色彩を競いあうマーケットか、それとも土色のジャガイモが幅を利かせているかで、食生活の豊かさの度合いを垣間見ることができる。民族の生活史や社会史も端的に表している。 数年前に東欧諸国を旅したとき、ブルガリアの首都ソフィアの中央駅に立ち寄ったことがある。中央駅の前では、露天商が所狭しと日用雑貨品を並べる、どこにでもある風景が展開していた。 しかし駅構内に入り込み、キオスクを覗き込んでいると、魚釣りの釣竿を陳列している店が眼に止まった。駅構内で釣竿かと思いつつ、店内に入ってギョッとした。釣竿の陳列棚のとなりに、猟銃やピストルを陳列している棚があったからだ。モデルガンにしては種類が豊富だなと思ってよく見たら、なんと本物の猟銃やピストルであった。 釣竿販売店が猟銃・ピストルを同時に販売することも、日本人の常識からは、かなりかけ離れている。しかしブルガリア人の発想では、獲物をとるという目的からすれば、釣竿も猟銃・ピストルも同じ範疇に入ることになる。魚と野鳥、小動物の違いがあっても、獲物という点でなんら変わりはないのだという。

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執筆者プロフィール
竹田いさみ
竹田いさみ 獨協大学外国語学部教授。1952年生れ。上智大学大学院国際関係論専攻修了。シドニー大学・ロンドン大学留学。Ph.D.(国際政治史)取得。著書に『移民・難民・援助の政治学』(勁草書房、アジア・太平洋賞受賞)、『物語 オーストラリアの歴史』(中公新書)、『国際テロネットワーク』(講談社現代新書)、『世界史をつくった海賊』(ちくま新書)、『世界を動かす海賊』(ちくま新書)など。
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