米国にとっての「ウクライナ問題」(下) NATO の東方拡大がもつ意味

武内宏樹
執筆者:武内宏樹 2014年12月19日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障

 前回11月25日付「米国にとっての『ウクライナ問題』(上)『大戦後最も深刻な国境線変更』」に引き続いて、米国にとっての「ウクライナ問題」を考えてみたい。今回は、冷戦終結後の北大西洋条約機構(NATO: North Atlantic Treaty Organization)の東方拡大をめぐる議論を考察する。

 NATO の東方拡大というのは、1990年代後半から続いてきた東欧の旧共産圏諸国のNATO 加盟の流れを指す。1999年にチェコ、ハンガリー、ポーランドがNATO に加盟したのを皮切りに、2004年にブルガリア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、スロバキア、スロベニアが加盟、2009年にはアルバニアとクロアチアが加わって現在に至っている。

 国際関係論で「リアリスト」とよばれる理論家たちは、安全保障条約というのは「共通の脅威」に対して結ばれるもので、「共通の脅威」が消滅すれば条約も自然消滅すると考えてきた。つまり、リアリストによればNATO はソ連解体とともに消滅するはずであったにもかかわらず、NATO が冷戦終結後も消滅するどころか、むしろ加盟国を増やして拡大していったことは、国際政治学における議論を大いに刺激することになった。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
武内宏樹
武内宏樹 サザンメソジスト大学(SMU)政治学部准教授、同大学タワーセンター政治学研究所サン・アンド・スター日本・東アジアプログラム部長。1973年生れ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)博士課程修了、博士(政治学)。UCLA 政治学部講師、スタンフォード大学公共政策プログラム講師を経て、2008年よりSMUアシスタント・プロフェッサーを務め、2014年より現職。著書に『党国体制の現在―変容する社会と中国共産党の適応』(共編著、慶應義塾大学出版会、2012年)、Tax Reform in Rural China: Revenue, Resistance, Authoritarian Rule (ケンブリッジ大学出版会、2014年)。ほかに、International Relations of the Asia-Pacific、Japanese Journal of Political Science、Journal of Chinese Political Science、Journal of Contemporary China、Journal of East Asian Studies、Modern Chinaなどに英語論文を掲載。専門は、中国政治、日本政治、東アジアの国際関係及び政治経済学。
comment:5
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
最新コメント
最新トピック
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順