中東―危機の震源を読む
中東―危機の震源を読む(53)

対中東・イスラーム「オバマの言葉」の読みどころ

池内恵
執筆者:池内恵 2009年5月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中東 北米

 米国新政権の最初の一区切りとして用いられる「就任後百日」が四月末に近づいた。この段階でオバマ政権の対中東および対イスラーム世界への政策がどのような形を取ってきているか検討してみたい。もちろん中東全体に対して、あるいは中東の諸問題に対して具体的な政策が出揃ったわけではなく、大統領の発言から方向性を推測するしかない。 ただし米国と中東の関係の課題は多分にイメージや感情に由来している。米政権の政策そのものの実態と成否だけでなく、「米国イメージ」や「反米感情」が対中東外交の障害となり、中東諸国の政治そのものにも深く影響を与えてしまう。そしてオバマがこの方面で持つ最大の「コンテンツ」はまさにオバマ自身のイメージであり言葉であるだけに、「オバマの言葉」の読みどころを知っておくのは有益だろう。 米大統領選挙戦でのオバマの演説は作り込まれた一連のショーのようだったが、就任後の演説も趣向を凝らし、考え抜かれたものである。 就任後、四月半ばまでに中東とイスラーム世界に向けられたオバマの主要な発言・演説は、(1)就任直後、アラビア語衛星テレビ「アラビーヤ」に与えた最初の単独インタビュー(一月二十六日)、(2)イラン暦新年「ノウルーズ」に合わせたビデオ・メッセージ(三月二十日)、(3)アフガニスタン・パキスタン政策を発表する演説(三月二十七日)、(4)トルコ議会での演説(四月六日)だ。

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執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター准教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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