ロシアが狙う「穀物の戦略商品化」

執筆者:新田賢吾 2010年9月8日
エリア: ロシア
禁輸措置発表は世界に衝撃を与えた (c)AFP=時事
禁輸措置発表は世界に衝撃を与えた (c)AFP=時事

 ロシアによる小麦など穀物輸出の全面禁止が世界に影響を広げている。国連食糧農業機関(FAO)の統計によると、ロシアは米国、カナダ、豪州に続く世界第4位の小麦輸出国で、禁輸が穀物市場に需給逼迫の懸念を与え、市況を急騰させているからだ。輸出禁止は干ばつによる不作が直接的な原因だが、プーチン首相自らがテレビを通じて世界に向け発表するなど、ロシアの姿勢にはやや不自然な点もある。ロシアは天然ガス、原油に続く戦略商品として穀物を利用する意図を持ち始めた可能性もみておくべきだ。  穀物禁輸は2段階で発表された。8月5日の発表では今年末までの禁輸だったが、9月初めに追加で1年間延長され、2011年末までとなった。作況が急改善しなければ、世界は今後1年4カ月にわたってロシアの小麦などの穀物の輸出を期待できなくなる。  ロシアは2007年に1444万トンの小麦を輸出している。トップの米国の3294万トンとは大きな差があるが、2位のカナダとの差は300万トン程度で、実質的にはロシアはカナダ、豪州、フランスなどと穀物輸出の第2位グループを形成しているといってよい。

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