マネーの魔術史 (12)

マネーはマジックか? 高度のテクニックか?

執筆者:野口悠紀雄 2017年8月17日
エリア: 北米 ヨーロッパ
(C)AFP=時事

 

 国は、マネーの発行を独占してきた。そして、そこから巨額の利益を得てきた。これで国の出費を賄うことは、マネーの歴史と同じくらい古くから行われてきた。

 マネーが硬貨(金貨や銀貨)だった時代、その方法は、硬貨の品質を落とすことだった。歴史に記されている最初の改鋳(改悪)は、ギリシャ時代に見られる。ローマ帝国でも、ある時期から、改鋳が頻繁に行われた。その後のヨーロッパでもそうだ。イングランド国王ヘンリー8世による改鋳は有名だ。江戸時代の日本でも行われた。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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