FTA議会批准問題とオバマの輸出戦略

執筆者:足立正彦 2011年4月12日
エリア: 北米

 訪米中のコロンビアのフアン・マヌエル・サントス大統領がバラク・オバマ大統領とコロンビア国内の労働者の保護強化に関する「行動計画(アクション・プラン)」に今月7日正式合意した。これを受け、オバマ政権はコロンビア政府との間で自由貿易協定(FTA)を巡る再交渉が合意に達し、米議会に対し批准を要請する態勢が整ったとの見解を明らかにしている。

 ジョージ・W.ブッシュ政権当時の2007年、米政府は韓国、コロンビア、パナマの3ヶ国とそれぞれFTAに調印している。だが、06年11月に行われた中間選挙で勝利した民主党は、07年1月に召集された第110議会(07年1月~09年1月)において上下両院で過半数の議席を奪回した。その結果、ブッシュ政権の再三の要請にも関わらず、自由貿易推進に反対する労働組合を中核的支持基盤に持つ民主党は、FTAの議会批准手続きを事実上「棚上げ」にした。

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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