後退を余儀なくされるオバマの高速鉄道網整備計画

執筆者:足立正彦 2011年4月18日
タグ: アメリカ
エリア: 北米

 オバマ大統領は石油への過度な依存からの脱却、温室効果ガス排出量の削減、益々悪化する交通渋滞の解消等を目的として、米国民の80%がアクセスできるように、2035年までに全米に高速鉄道網13路線を整備する構想を、政権のインフラ整備プロジェクトの柱として提案している。6年間で総額530億ドルを拠出する大プロジェクトだ。だが、現時点で米議会が承認した関連予算総額は約100億ドルにすぎない。米国の財政状況が悪化する中、歳出削減を求める共和党からの圧力が一層強まっており、オバマ政権が掲げるこのプロジェクトは、実現に向け益々厳しい状況に陥りつつある。

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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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