NHK・BSプレミアムが5日夜まで3夜連続で放映した「長江 天と地の大紀行」はまさに、OSINT(公開情報)インテリジェンスの好例だったと言える。「悠久の大河・長江への旅を通して“21世紀の超大国・中国の今”を見る大紀行」というNHKの宣伝文句通り、中国の現実が見えた。中国生まれで日本に帰化した俳優・阿部力の飾らない取材が、なかなか見られない中国の現状を捉えていた。3回ずっと見ていたわけではなく垣間見た程度だが、専門家が見ていたら、さまざまなヒントが得られたのではないかと思う。
北朝鮮についても、このようにして国内情勢を知ることができたら、と思われる。この間能登半島に流れ着いた脱北者家族はドル札を保有していた。北朝鮮国内でドルが流通していることは数年前、まだ当時出版されていた平凡社の「月刊百科」に寄稿した在日ジャーナリスト、李策氏の興味深い平壌ルポで知っていた。彼は叔父宅でビールや寿司を振る舞われ、ドル紙幣があれば何でも買える現実を教えられた。その後、北朝鮮当局が外貨保有を禁止したはずだが、まだ持っている人がいたのだ。
では、今の北朝鮮のはどうなっているのか。北朝鮮住民の携帯電話の使用を一面トップで報じた新聞があったが、これなどは既報のはずだ。
日本政府は対北朝鮮「強硬策」を取り続け、例の万景峰号が来なくなって久しい。日本の情報機関への情報提供者もかつてのように万景峰号で訪朝できなくなった。「強硬策」の結果について、どんな成果があったのかなかったのか再評価して今後の対策を再検討する時期が来たのではないか。
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