G20――2年半で米国の影響力はいかに衰退したか

執筆者:渡部恒雄 2011年11月14日
エリア: 北米

 11月3、4日にフランスのカンヌで開かれたG20サミットは、ギリシャ債務危機に端を発する欧州経済危機への対処がテーマだった。特にギリシャが財政を立て直すための包括策を受け入れるかどうかが焦点で、世界が懸念を持って見守った。だがこの会議は同時に、米国の世界への影響力衰退の度合いを測る恰好のリトマス試験紙ともなったようだ。

 会議では、結局ギリシャのパパンドレウ首相が、国民投票を見送り包括案を受け入れることになり、債務不履行などの深刻な危機はひとまず回避できた。ただしG20のタスクであった、欧州の金融安全網強化のための欧州安定基金(EFSF)の拡充や、IMFの資金拡充などでは、中国やブラジルらの新興国からの資金拠出などは確約されなかった。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
渡部恒雄(わたなべつねお) わたなべ・つねお 笹川平和財団上席研究員。1963年生まれ。東北大学歯学部卒業後、歯科医師を経て米ニュースクール大学で政治学修士課程修了。1996年より米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員、2003年3月より同上級研究員として、日本の政治と政策、日米関係、アジアの安全保障の研究に携わる。2005年に帰国し、三井物産戦略研究所を経て2009年4月より東京財団政策研究ディレクター兼上席研究員。2016年10月に笹川平和財団に転じ、2017年10月より現職。著書に『大国の暴走』(共著)、『「今のアメリカ」がわかる本』、『2021年以後の世界秩序 ー国際情勢を読む20のアングルー』など。最新刊に『防衛外交とは何か: 平時における軍事力の役割』(共著)がある。
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