「両岸三地」の今後を占う香港行政長官選挙

執筆者:樋泉克夫 2011年11月15日
エリア: アジア
江沢民派で有力候補とされる唐英年氏(c)AFP=時事
江沢民派で有力候補とされる唐英年氏(c)AFP=時事

 来年2012年には「両岸三地」と総称される中国、台湾、香港で、それぞれの政治指導者が交替する。中国(中華人民共和国)では胡錦濤総書記の後任は習近平でほぼ決定だろう。台湾(中華民国)では現総統で国民党主席の馬英九に、野党・民進党主席の蔡英文とヴェテラン政治家の宋楚瑜が挑み、目下、三つ巴の前哨戦といったところ。残る香港(中華人民共和国香港特別行政区)だが、2012年6月に2期目の任期が切れる曽蔭権(ドナルド・ツァン)の後任を巡って静かな戦いが展開されている。  国際社会に対する政治的影響力についていうなら、香港は中国や台湾に較べ限定的であり、政治指導者に対する注目度も小さいことは否めない。だが両岸三地が経済的補完関係にあり、3人の指導者の言動が微妙に絡み合っていることを考えると、次の行政長官に誰が選ばれるかは、今後の香港はもちろんのこと、両岸三地の将来像を考える上で重要なポイントとなるはずだ。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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