昨年末の日本経済新聞に掲載されたトヨタ自動車社長、張富士夫のインタビュー記事の中に興味深いコメントがある。「日本経済二〇〇五年への視点」という連載で産業競争力について語ったもので、日本産業を猛追する中国の競争力をどう見るか、と問われて次のように答えている。「競争力の変化率を瞬間風速で見れば中国が日本を上回っているのは間違いない。しかし日米の関係でもそうだったが、追いかけるときは簡単でも近づいてからが難しい。物まねでなく自ら設計、開発しなければならない段階になるとこの格差は簡単に縮まらない。……二十年前に米GMとカリフォルニアに合弁会社を設立したが、当時の日米格差に比べると現在の日中の方が遥かに大きい」

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン