自民党のルール通りだと小泉純一郎首相の「自民党総裁」としての任期は来年九月いっぱいで終わる。党則を改正しない限り、任期を延長することはできない。わずか五票差での郵政民営化法案衆院通過は、小泉政権の意外な脆弱さとポスト小泉をめぐるドラマの始まりを告げている。世上、「次の首相候補の顔が見えない」などといわれているが、かつて、次の政権担当者の顔が見えていることのほうがはるかに異例だったのである。 いかに政界に人材が払底していても内閣総理大臣のポストが空白になることはない。国会議員の中からだれかが選ばれる。小泉政権が四年以上も続いた(来年九月までつとめれば、在任期間は佐藤栄作、吉田茂に続く戦後三番目)最大の理由は、後継に有力な政治家がいない、ということであった。冷静に考えてみるとこれほどおかしなことはない。小泉は決して首相の有力候補ではなかった。一九九三年八月の細川護熙以来、だれが首相になったかを思い出してみる必要がある。細川、羽田孜、村山富市、橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗、そして小泉。細川以降七人の首相のうち、就任三カ月前に次期首相として有力視されていた人物は皆無だ。
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