ネオコンの始祖とされる評論家ノーマン・ポドレッツ(一九三〇―)は、衝撃的に論争の地平を広げるだけでなく、その位相をも変えてしまう独特の批評力を持っていた。「明晰さとは勇気だ。勇気とは明晰さだ」 若き日のポドレッツの引き起こす論争は、必ず核心に切り込んでいった。その核心は、往々にして、時代の思潮に抑え付けられ知識人が目を背けようとしていることだった。 一九六七年。ベトナム反戦、麻薬による幻想などを賛美する反体制文化、新左翼運動が隆盛の時代。ポドレッツは、多くの知識人がアメリカ的なるものすべてに敵意を向けていた世相に対し、真正面からもっとも「陳腐」なアメリカの価値観をぶつけた。

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