「味の素」「大塚製薬」は慎重、「ハウス食品」「ニチレイフーズ」はどうする? プライベートブランド黄金時代にメーカーの課題
プライベートブランド市場が拡大する中、メーカー各社は「分水嶺」に立たされている[イトーヨーカドー大森店の売り場に並んだPB商品「セブン・ザ・プライス」](C)時事
プライベートブランド(PB)の存在感が、今、食品や生活用品市場でかつてないほど高まっている。かつてPBは、ナショナルブランド(NB)製品の廉価な代替品にすぎないとみなされていた。しかし、物価高と実質賃金の低迷が続く2020年代半ば、PBはその役割と位置づけを大きく変貌させている。
PBはスーパーマーケットなどの小売業が企画・販売する商品。一方、NBは食品・日用品メーカーが自社のブランド名で展開する商品を指す。販売額に占めるPB比率が4割を超える商品群(たとえば冷凍食品、調味料など)もある。PBは単なる「安かろう」ではなく、「価値に見合う価格」「納得できる品質」という視点で選ばれる“ブランド”として消費者に評価されるようになった。
背景には、消費者心理の変化がある。安さだけを追い求めるのではなく、「この品質でこの価格ならば納得できる」と感じられるかどうか──いわば“価格納得感”が購買判断の新たな物差しとなっている。2025年6月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比3.3%の上昇を記録し、コメ価格は約10割上昇するなど、生活必需品へのインフレ圧力は顕著だ。
節約志向が強まりつつも、生活の質を下げずにやりくりしたいという欲求が強まっている。そうしたニーズに的確に応えているのが、現代のPBである。
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