「フェットチーネのシャリシャリ感が好き」「毎日食べてます。きょうはバッグにコロロが入っています」――筆者は2024年4月に『グミがわかればヒットの法則がわかる』(プレジデント社)を上梓した。取材・執筆時期に会った人にグミの話をすると、グミが嫌いだと言った人は皆無。老若男女問わずにグミを食べた経験があり、好きなブランド名を挙げてきたことには驚きだった。
団塊ジュニアからその子どもへ、子どもから祖父母へと支持が連鎖
グミはドイツ生まれ。1922年に菓子職人のハンス・リーゲルがクマの形をした「ハリボー」を発売した。それが世界的に広がり、日本のメーカーでは1980年に明治(当時の明治製菓)が「コーラアップ」を初めて商品化。
その後、「果汁グミ」(明治)、「シゲキックス」(UHA味覚糖)といったロングセラーに育っている商品が1990年前後に登場し、グミ市場が確立されていった。
もちろん当初グミは子供のものだった。だが、ターゲットだった団塊ジュニア(団塊世代の子供、1971年~1974年生まれの世代)が年齢を重ねても食べ続けた。
子育て期に入ると、団塊ジュニアはチョコレートやガムを横に置いて、子どもに与えやすい菓子としてグミを選んだ。果汁感やコラーゲンをイメージする健康感、リビングを汚さない、といったグミが持つ特性が支持された。
孫が好きで食べているお菓子に祖父母も注目して買い与える。時に「おじいちゃん、おばあちゃんにもちょうだい」といって口にすると、予想以上においしい。そんな理由が、子どもから大人まで世代がつながる菓子になった。少子高齢化に伴う人口減少社会にあって消費市場は縮小気味だが、グミは逆に市場を拡大してきた。
供給側にも目を向けると、グミ市場は明治、カンロ、UHA味覚糖、ブルボン、春日井製菓、カバヤ食品などメーカーが多い。コンビニエンスストアなど小売りの店頭でグミの売り場を拡大する中、各社が競い合って新商品が毎週のように発売される。
一方でガム市場はロッテがガリバーで成熟化が激しい。これに比べると、グミ市場は常に新しい話題が提供され、消費者にとって次はどんな商品が出るのかと期待感が大きい。だからSNSに投稿する格好のネタになる。
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