「今最も大切なことは、国政に停滞を招かないということであります」
「政治には一刻の停滞も許されないということでございます」
20日に投開票が行われた参院議員選挙で、目標としていた「与党で50議席」を獲得できなかった自民党の石破茂総裁は選挙の翌日、党本部で開かれた記者会見で総理・総裁の続投を表明した。続投の理由については「米国の関税措置あるいは物価高、明日起こるかもしれない首都直下型地震、あるいは南海トラフそのような自然災害」などを上げた。
泥船から降りようとする官房長官と政調会長
会見での石破はほとんど喜怒哀楽を見せない無表情な様子で、それなりにショックを受けていることが窺えたが、自身や森山裕幹事長への責任論については全くと言っていいほど触れなかった。
「なんだ? この会見は。誰も責任をとらないということか」
自民党関係者からはこんな声が上がった。この“続投会見”は石破内閣終焉の序章を予感させるものとなった。
投票日を前に、与党の過半数割れが避けられない状況となる中、総理官邸や自民党本部の中からは「どうも石破さんはどんな結果になっても辞めないようだ」という声が筆者のもとに届いていた。この話を聞いて「さもありなん」という印象を持ちつつも、去年の総選挙、今年6月の東京都議会議員選挙に続けて参院選でも大敗を喫したとなれば、さすがの石破もあきらめるのではないかという気持ちもあった。だが、石破と彼を支える森山幹事長は相当な精神力の持ち主のようだ。
「余りにも世間の感覚とのズレが激しい。特に石破さん以上に森山さんが」(自民関係者)
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