日本人の三つ子の魂を知る上で「お盆」は、貴重なサンプルだ。純粋な仏教行事に見えるが、「仏教の衣裳をまとった日本的な風習」なのである。
「お盆」の歴史は古い。すでに7世紀の初頭に、推古天皇が取り入れていた。
推古14年(606)4月8日、丈六(1丈6尺、約4.8メートル)の仏像が完成し、元興寺(飛鳥寺)金堂に収められた。そしてこの年から毎年、4月8日に灌仏会(かんぶつえ)が、7月15日に盂蘭盆会(うらぼんえ)が執り行われるようになった。灌仏会は釈迦の誕生を祝う法会で、盂蘭盆会が、のちに「お盆」となる仏教行事だ。最初の本格寺院の誕生とともに、「お盆」は始まったのだ。

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