[台北発]「民進党に金銭疑惑が続いていたが、高雄は希望通りにならなかった」。十二月九日夜、台湾・台北市の党本部で記者会見した最大野党・国民党の馬英九主席(台北市長)の口調は重かった。この日行なわれた台北、高雄という二大都市の市長選挙で、国民党は馬主席の後任を選ぶ台北こそ勝利したものの、高雄は得票率で〇・一四%の僅差ながら与党・民進党に敗れてしまった。 台湾政界はこの半年余り、陳水扁総統の身辺で続く不祥事が最大の争点だった。五月に娘婿がインサイダー取引容疑で逮捕され、十一月には夫人が総統府公費の横領容疑で起訴された。国民党ばかりか地元メディアも連日、「陳水扁バッシング」を展開していた。いわば「国民党が二勝して当たり前」の環境下で、民進党に三期連続となる高雄の市長ポストを許したのだ。

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