「原発5基廃炉」決定:「安全性」と「温暖化」の議論は始まるか

執筆者:磯山友幸 2015年3月26日
エリア: アジア

 運転開始からおおむね40年が経過した老朽原子炉5基の廃炉(廃止措置)が決まった。3月17日から18日にかけて関西電力、日本原子力発電、中国電力、九州電力の4社が発表したもので、原則40年で廃炉すると定めた原子炉等規制法のルールが初適用される。

 廃炉が決まったのは、関西電力美浜原子力発電所1号機と2号機、日本原子力発電の敦賀原発1号機、中国電力の島根原発1号機、九州電力の玄海原発1号機の5基。1970年3月から1975年10月にかけて運転が開始されたもので、今年末時点ですべてが運転期間40年を超える原子炉だ。2013年7月に改正された原子炉等規正法では、1回に限って最長20年間の運転延長を申請する道もあるが、厳格になった原子力規制委員会の審査基準を満たすには巨額の設備投資が必要になるとみられることから、各社とも廃炉に踏み切った。

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執筆者プロフィール
磯山友幸(いそやまともゆき) 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト活動とともに、千葉商科大学教授も務める。著書に『2022年、「働き方」はこうなる』 (PHPビジネス新書)、『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、『破天荒弁護士クボリ伝』(日経BP社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)、『「理」と「情」の狭間――大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP社)などがある。
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