愛国者「ワタナベさん」が日本を売るとき

執筆者:田中直毅 2007年12月号
タグ: 日本 ドイツ
エリア: アジア

財政、年金、医療。わが国を「持続可能な社会」にするための“骨格”が危機に瀕している。制度の再設計に臨めるのは今しかない。 ファンドを中心とした外国人投資家と海外脱出など一度も考えたこともない日本の一般国民との間には、深い溝があると考えられてきた。ハゲタカやハイエナという動物のイメージで投資ファンドを描くことも一つの傾向となったからである。国民の本来の資産に無遠慮に手をつっ込んでくる国外勢力の遮断こそが国政の課題との言説さえ登場していた。しかし次の三点の設問を頭に浮かべてほしい。 (一) 日本国の債務の認識に当たって、地方自治体のうち、実質上の財政破綻に陥ったところの累積債務から、国は本当にリスク遮断をなしえているであろうか。

カテゴリ: 経済・ビジネス 政治
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
田中直毅(たなかなおき) 国際公共政策研究センター理事長。1945年生れ。国民経済研究協会主任研究員を経て、84年より本格的に評論活動を始める。専門は国際政治・経済。2007年4月から現職。政府審議会委員を多数歴任。著書に『最後の十年 日本経済の構想』(日本経済新聞社)、『マネーが止まった』(講談社)などがある。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top