インテリジェンス・ナウ

新首相就任で対米密約は無効に? 岐路に立つパキスタン「対テロ戦争」

執筆者:春名幹男 2008年5月号
タグ: CIA タリバン
エリア: アジア

 二年半前、イスラマバードで会った西側外交筋から、次のような興味深い話を聞いた。 ムシャラフ・パキスタン大統領は公式的には、パキスタン国内における米軍の作戦活動を拒否しているが、米中央情報局(CIA)の工作は事実上、制限なく認められている。アフガニスタン国境に近いクエッタなどの要衝で「CIAとみられる人物らがハイテク機器を運び込むのを見た」といった目撃談をしばしば聞く――というのだ。 今年初めには、ムシャラフ政権とブッシュ米政権の間で、CIAの工作について「暗黙の了解」ができた、と米ワシントン・ポスト紙が伝えている。アフガン国境にある連邦部族直轄地域(FATA)のアル・カエダやタリバンのアジトに対して、CIAが精密誘導兵器で攻撃することが認められたというのだ。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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