経済の頭で考えたこと (4)

ドル安・石油・食糧「グローバル経済」万華鏡の覗き方

執筆者:田中直毅 2008年6月号
タグ: 中国 インド 日本

 世界経済の展開を、原因に対する結果、という単純な因果関係で記述することはもはや難しい。「窮まればすなわち転ず」という多次元的な展開軸に沿ったストーリー(物語)を理解するためには、少なくとも手元に万華鏡を置かねばなるまい。手回しすれば風景が一変するという機微こそが認識上の心得だ。 グローバリズムに対して米国の草の根での反発が確認されたのは、二〇〇六年の中間選挙を控えての頃であった。起承転結の「起」に相当したのが、ドバイ・ポーツ・ワールドというアラブ首長国連邦の港湾運営会社による、米国の主要港湾管理会社取得の動きだった。この年の春に、米国議会は反対一色となり、彼らの対米投資は急遽中止となったのだ。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
田中直毅(たなかなおき) 国際公共政策研究センター理事長。1945年生れ。国民経済研究協会主任研究員を経て、84年より本格的に評論活動を始める。専門は国際政治・経済。2007年4月から現職。政府審議会委員を多数歴任。著書に『最後の十年 日本経済の構想』(日本経済新聞社)、『マネーが止まった』(講談社)などがある。
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