資源高の追い風を受けるアフリカだが、政治の腐敗や公共サービスの欠如は以前と変わらない。アフリカビジネスで問われるものとは――。 昨年マダガスカルに行ってきた。住友商事を中心とした国際コンソーシアムが進めている「アンバトビー・プロジェクト」の現場を訪れるためだ。GDP(国内総生産)が九十三億ドル(二〇〇八年)で一人当たりGDPも五百ドルに満たない最貧国マダガスカルに三十七億ドルを投下して、ニッケルとコバルトの一貫生産体制を構築しようという大事業である。すでに内陸部の鉱山、沿岸部の精錬工場、トアマシナ港の拡張工事、これらを結ぶ搬出路の建設が始まっている。完成すればマダガスカルは世界のニッケル生産の三・八%、コバルトの八・三%を占めるようになり、経済規模が倍増する。日本としてもニッケルの安定供給源を一つ確保できる。現下日本最大の対アフリカ投資であるばかりか、世界的にみても最大級の事業である。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン