「国民の求める政策」を無視する民主党政権

執筆者:原英史 2010年8月20日
タグ: 日銀
エリア: アジア

 来年度の国家公務員給与に関する「人事院勧告」が8月10日に公表された。内容は、民間水準にあわせて平均年間給与を1.5%下げるというもの。カットとはいうが、これでは、民主党がマニフェストで掲げていた「人件費2割削減」には程遠い。
それなら、勧告より深掘りした給与カットに踏み込むのかと思えば、原口一博総務大臣は「人事院勧告を尊重する責務がある」と発言している。
 これはおかしな話で、法律上、勧告の尊重義務など存在しない。国家公務員法上の制度は、人事院勧告を参考に、内閣が給与改定案を作成し、最終的には国会が決定するというもの。過去にも、鈴木善幸内閣で「財政非常事態」を宣言し、人事院勧告に従わなかった例はある。
 マニフェストより人事院勧告を「尊重」しているのでは、お話にならない。

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
原英史(はらえいじ) 1966(昭和41)年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。政府の規制改革推進会議委員、国家戦略特区ワーキンググループ座長代理、大阪府・市特別顧問などを務める。著書に『岩盤規制―誰が成長を阻むのか―』、『国家の怠慢』(新潮新書)など。
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