米国政治の党派対立の激化や分極化を助長する要因として、民主、共和両党における団体及び活動家の活動の活発化や、予備選挙の脆弱性、両党内における中道寄りの穏健派議員のプレゼンスの低下などについて「アメリカの部屋」では取り上げてきた。今回はもう一つの重要な要因と考えられる「ネット政治」の影響について考えてみたい。
今年11月に実施された中間選挙で共和党の歴史的勝利が判明した直後、共和党が取り組むべき課題についてミッチ・マコーネル共和党上院院内総務(ケンタッキー州選出)がメディア関係者から問われた際、先ず口にしたのは、米国が現在直面している財政赤字削減などの喫緊の課題の克服やレイムダック会期あるいは第112議会で取り組むべき立法措置についてではなく、2012年大統領選挙でのオバマ再選阻止に向けた共和党の決意についてであった。マコーネルはそのような党内向け発言を行わない場合、共和党支持者から議会共和党指導部のオバマ政権や民主党に対する対決姿勢が「弱腰」との批判を受けかねないことを十分意識したうえで、意図的にそのような発言を行ったと推測される。
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