円高はいまだに悪なのか。またぞろ「円高阻止」の声が高まっているが、製造業のアジアシフトが進む中、通貨政策の常識を改めて疑ってみる必要がある。 為替介入は普通、自国通貨を防衛するために行なわれる。多くの場合、この試みは成功しない。最近のアルゼンチンやトルコ、あるいはアジア通貨危機でのタイや韓国、インドネシアなどの例が典型だ。いったん価値の下がり始めた通貨は誰もが手放してハードカレンシー(強含みの通貨)に換えようとする。ひと儲け企む投機筋はここぞと売りに回る。政府は自国通貨の買い支えに入るが、最後は中央銀行が外貨準備を使い果たして万策尽きる。通貨の価値は落ちるところまで落ち、インフレと国民生活の破綻に至る。通貨が弱くなる国の末路は哀れだ。
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