バイデン政権の経済政策「中間決算」:40年ぶりのインフレまでの「実験」と「後悔」

執筆者:吉崎達彦 2022年12月23日
エリア: 北米
パウエルFRB議長の「物価上昇は一時的」との判断は誤りだった   (C)EPA=時事
トランプ政権時代から数えれば実に総額7兆ドルの財政支出。新型コロナ対策で始まった「高圧経済」という実験は、インフレという形で「財政支出が大き過ぎたことによる後悔」をもたらした。ただし、そのトータルの得失はまだ見えない。

 12月1日、午前4時。テレビ東京の差し回しのタクシーが自宅に到着したので、イヤーホン付きのiPadを手にしたままで乗り込んだ。インターネット上では、ワシントンにあるブルッキングス研究所主催のセミナーを中継している。12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)を控えて、ジェローム・パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長がどういう発言をするか、この日の最大の関心事となっていた。

   早朝のマーケット番組『Newsモーニングサテライト』コメンテーターとしては、午前5時45分に番組が始まる前に聞いておきたいところであった。タクシーがテレビ局に到着する少し前にセミナーは終了していたが、案の定、この間にニューヨーク株価は爆上げしていた。

この記事だけをYahoo!ニュースで読む>>
カテゴリ: 経済・ビジネス
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
吉崎達彦(よしざきたつひこ) 双日総合研究所チーフエコノミスト。1960年(昭和35年)富山市生まれ。一橋大学社会学部卒業後、1984年日商岩井(現双日)に入社。米国ブルッキングス研究所客員研究員、経済同友会調査役などを経て現職。新聞・経済誌・週刊誌等への執筆の他、「サンデープロジェクト」等TVでも活躍。また、自身のホームページ「溜池通信」では、アメリカを中心に世界の政治経済について鋭く分析したレポートを配信中。著書に『溜池通信 いかにもこれが経済』(日本経済新聞出版社)、『1985年』(新潮新書)など、共著に『ヤバい日本経済』(東洋経済新報社)がある。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top