自民党が直面する新たな課題――政党の組織力が政治の行方を決める

執筆者:牧原出 2013年1月28日
エリア: アジア
 もろもろの会議体が動き始めた(日本経済再生本部の会議。左から甘利明経済財政・再生相、安倍晋三首相、麻生太郎財務相)(c)時事
もろもろの会議体が動き始めた(日本経済再生本部の会議。左から甘利明経済財政・再生相、安倍晋三首相、麻生太郎財務相)(c)時事

 2012年12月の総選挙では、自民党は294議席を獲得して圧勝したものの、比例代表では得票が伸びなかった。国民は熱狂的に自民党を支持したわけではなく、自民党の勝利はあくまで有権者の消極的選択の結果にすぎなかった。

 選挙前にメディアが注目した第3極の日本維新の会と日本未来の党(現在は生活の党)は、政策の方向性に一貫性がなく、得票を伸ばすことができなかった。一方、与党であった民主党への批判は強く、同一選挙区で離党した候補と票を分け合ったこともあり、大敗した。また選挙後には、日本維新の会では東西対立がささやかれ、日本未来の党では嘉田由紀子代表が小沢一郎と対立して離党したことで、いずれも組織としての結束に疑問符がついた。

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
牧原出(まきはらいずる) 東京大学先端科学技術研究センター教授。愛知県生まれ。東京大学法学部を卒業後、東北大学法学部助教授、同大学大学院法学研究科教授等を経て、2013年4月より現職。専門は政治学・行政学。著書に、『内閣政治と「大蔵省支配」ー政治主導の条件』(中公叢書、2003)、『行政改革と調整のシステム』(東京大学出版会 、2009)、『権力移行 ー何が政治を安定させるのか』(NHKブックス 、2013)、『「安倍一強」の謎』(朝日新書 、2016)、『崩れる政治を立て直すー21世紀の日本行政改革論』(講談社現代新書、2018)、『田中耕太郎ー闘う司法の確立者、世界法の探求者』(中公新書、2022)他多数。
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