「欧州の病人」ウクライナの進路

執筆者:名越健郎 2014年1月8日
エリア: ヨーロッパ
プーチン大統領(Photographer RM / Shutterstock.com)

 1991年にソ連邦が崩壊した際、ドイツ銀行は旧ソ連を構成した15新興国の報告書を出し、「適正な面積、人口、民度の高い国民を持つウクライナの将来性が最も有望」と予測していた。ウクライナの面積はロシアを除けば欧州最大で、当時の人口は5000万人とフランスに匹敵。東部にソ連最大の工業地帯を抱え、技術者の水準も高かった。広大な黒土地帯があり、日照時間が長く、欧州最大の穀倉地帯になるとされた。同銀行は、「ロシアは広大すぎて統治が困難」と将来性に否定的だった。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top