国連イラン制裁の現場から(1)「国連安保理による制裁」とは

執筆者:鈴木一人 2015年10月16日
エリア: 中東

 この「国際機関の部屋」では国連や国際機関に関わる時事的なテーマとは別に、筆者が実際に国連で業務に携わったイラン制裁について、9月にForesightで掲載された記事で書ききれなかったことをいくつかのテーマに分けて論じる予定としている。

特権的な地位

 今回は国連安保理による制裁とは何かについて解説してみたいと思う。国連安保理は国連の中で特権的な地位にある。それは国連憲章第25条で「国際連合加盟国は、安全保障理事会の決定をこの憲章に従って受諾し且つ履行することに同意する」ことが定められているからだ。つまり、安保理の決定は全ての国連加盟国を拘束する。国連総会は加盟国に対して勧告的意見を出すにとどまり、各国がどのように対応するかは裁量の余地が大きく、安保理の決定は裁量の余地が小さいと言える。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
鈴木一人(すずきかずと) すずき・かずと 東京大学公共政策大学院教授 国際文化会館「地経学研究所(IOG)」所長。1970年生まれ。1995年立命館大学修士課程修了、2000年英国サセックス大学院博士課程修了。筑波大学助教授、北海道大学公共政策大学院教授を経て、2020年より現職。2013年12月から2015年7月まで国連安保理イラン制裁専門家パネルメンバーとして勤務。著書にPolicy Logics and Institutions of European Space Collaboration (Ashgate)、『宇宙開発と国際政治』(岩波書店、2012年サントリー学芸賞)、編・共著に『米中の経済安全保障戦略』『バイデンのアメリカ』『ウクライナ戦争と世界のゆくえ』『ウクライナ戦争と米中対立』など多数。
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