この「国際機関の部屋」では国連や国際機関に関わる時事的なテーマとは別に、筆者が実際に国連で業務に携わったイラン制裁について、9月にForesightで掲載された記事で書ききれなかったことをいくつかのテーマに分けて論じる予定としている。
特権的な地位
今回は国連安保理による制裁とは何かについて解説してみたいと思う。国連安保理は国連の中で特権的な地位にある。それは国連憲章第25条で「国際連合加盟国は、安全保障理事会の決定をこの憲章に従って受諾し且つ履行することに同意する」ことが定められているからだ。つまり、安保理の決定は全ての国連加盟国を拘束する。国連総会は加盟国に対して勧告的意見を出すにとどまり、各国がどのように対応するかは裁量の余地が大きく、安保理の決定は裁量の余地が小さいと言える。

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