欠陥マンション問題:「三井不」だけではない「業界」の構造的欠陥

執筆者:杜耕次 2015年11月16日
タグ: 日本
エリア: アジア

 三井不動産の100%出資子会社が横浜市都筑区の複合商業施設「ららぽーと横浜」の隣接地で開発・分譲したマンションのうち、1棟が欠陥施工で傾いている問題。10月半ばの発覚以来、批判の矛先は、他の工事でも杭打ちデータの改ざんや流用を繰り返していた2次下請けの旭化成建材に集中している感があるが、被害に遭った住民からは「売り主の対応に誠実さがない」といった三井不に対する不満の声が噴出している。

 分譲時に旧財閥系など老舗の不動産会社はしばしば、「うちは“カタカナ業者”とは違います」などと新興デベロッパーとの信用力の違いを強調する。だが、「売る時のえびす顔、トラブル時の閻魔顔」はこの業界の定番。今回のような欠陥マンション問題が表面化すると、建て替え・修繕などに伴う損失は施工したゼネコンや下請けに押し付け、自社の懐は痛まないから悔悟の念が感じられず、被害者に誠意が伝わらない。経営トップの任期が長く、「老害」が蔓延っているのも各社共通。そんな業界体質だから、財界中枢からは「しょせん不動産屋」と陰口を叩かれ、売上高が1兆円に達する企業規模にもかかわらず、序列は低いままなのである。

カテゴリ: 経済・ビジネス 社会
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