中国は国連の問題児か?(上)意外に少ない「拒否権」発動

9月19日、潘基文国連事務総長(右)と会談する李克強中国首相 (c)AFP=時事

 南シナ海における中国の進出や、尖閣諸島をめぐる様々な摩擦を日々目にしていると、しばしば中国は国際的なルールを無視し、傍若無人な行動を平気で行う国家のように見える。確かに、そうした証拠は無数に散見されるし、その現実は否定しようがない。
 しかし、国連にいると中国はまったく違う国家に見えることが多い。日本から見ると、中国は安保理常任理事国であり、拒否権を振りかざし、自国の主張を世界に強硬に押し付ける国のように思われがちである。しかし、筆者が国連で観察していた中国は必ずしもそうした態度に終始していたわけではなかった。筆者自身は中国の専門家ではないので、中国の外交政策、国連政策を十分に解説することはできないが、限られた観察範囲から中国の国際機関での振る舞いについて考えて見たい。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
鈴木一人(すずきかずと) すずき・かずと 東京大学公共政策大学院教授 国際文化会館「地経学研究所(IOG)」所長。1970年生まれ。1995年立命館大学修士課程修了、2000年英国サセックス大学院博士課程修了。筑波大学助教授、北海道大学公共政策大学院教授を経て、2020年より現職。2013年12月から2015年7月まで国連安保理イラン制裁専門家パネルメンバーとして勤務。著書にPolicy Logics and Institutions of European Space Collaboration (Ashgate)、『宇宙開発と国際政治』(岩波書店、2012年サントリー学芸賞)、編・共著に『米中の経済安全保障戦略』『バイデンのアメリカ』『ウクライナ戦争と世界のゆくえ』『ウクライナ戦争と米中対立』など多数。
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