【再掲】米半導体輸出規制で始まった「輸出管理戦争」時代は企業に何を求めるか

執筆者:鈴木一人 2023年12月29日
エリア: アジア 北米
経済安全保障戦略の実効性は、企業と政府の連携の深さによっても左右される[次世代半導体の国産化に向け、ベルギーの研究開発機関と協力の覚書を交わしたRapidusの小池淳義社長(中央)。右は西村康稔経済産業相=2022年12月6日、東京都千代田区]
アメリカは中国との戦略的競争の中で技術と経済を武器にする覚悟を決めた。いまや技術や経済は戦略的ツールに変貌したのだ。日本が最善の手段を見つけるなら、国際的な競争力を獲得して「戦略的不可欠性」を確立し、他国からの威圧に対抗する能力を高めるしかない。そして日本のそうしたポテンシャルは、多くの悲観論にかかわらず低くはないのかもしれない。 ※2023年8月22日公開の記事を再掲します

 日本にとって半導体は特別な意味を持つ製品である。1980年代には日本の半導体産業は世界市場の50%のシェアを握り、当時、激しく展開していた日米貿易摩擦においても、日本の半導体は不公正な政府支出によって支援を受けていると批判され、1986年から10年間、日米半導体協定が実施された。

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執筆者プロフィール
鈴木一人(すずきかずと) すずき・かずと 東京大学公共政策大学院教授 国際文化会館「地経学研究所(IOG)」所長。1970年生まれ。1995年立命館大学修士課程修了、2000年英国サセックス大学院博士課程修了。筑波大学助教授、北海道大学公共政策大学院教授を経て、2020年より現職。2013年12月から2015年7月まで国連安保理イラン制裁専門家パネルメンバーとして勤務。著書にPolicy Logics and Institutions of European Space Collaboration (Ashgate)、『宇宙開発と国際政治』(岩波書店、2012年サントリー学芸賞)、編・共著に『米中の経済安全保障戦略』『バイデンのアメリカ』『ウクライナ戦争と世界のゆくえ』『ウクライナ戦争と米中対立』など多数。
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