【再掲】融解しつつある世界秩序の中の日本の戦略

執筆者:細谷雄一 2023年12月31日
タグ: 日本
イスラエル=ハマス紛争は、すでに緊張と対立があふれる世界秩序をさらに流動化させる要因に[2023年10月13日、パレスチナ自治区ガザ](C)AFP=時事
世界は米中対立の時代から、多極化と無極化の時代へと推移している。米国・ロシア・中国のプレゼンスが後退しつつ、「グローバル・サウス」および地域的な大国の台頭という新たな動きが加わりながら、国際政治の力学はいま大きな変化を見せている。紛争や対立がより顕著となる過酷な時代に、日本はどのような「生存戦略」を描けるか。それは世界秩序の再建と復興という、日本が国際社会において果たし得る重要な役割ともなるのではないか。慶應義塾大学が今年3月に設立した「戦略構想センター(Keio Centre for Strategy)」による特別企画で新たなビジョンを提示する。 ※2023年10月13日公開の記事を再掲します

 10月7日、パレスチナのイスラム組織ハマスが、ロケット弾などを用いてイスラエルへの大規模な攻撃を開始した。これを受けて、イスラエルもまた報復に踏み切った。また、前月の9月19日には、アゼルバイジャンが隣国アルメニアとの間の係争地となっていたナゴルノ・カラバフに対して、「対テロ作戦」を開始して、翌日にアゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領が同地での主権を回復したことを宣言した。

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執筆者プロフィール
細谷雄一(ほそやゆういち) 1971年生まれ。API 研究主幹・慶應義塾大学法学部教授/戦略構想センター長。94年立教大学法学部卒。96年英国バーミンガム大学大学院国際学研究科修士課程修了。2000年慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了(法学博士)。北海道大学専任講師、慶應義塾大学法学部准教授などを経て、2011年より現職。著作に『戦後国際秩序とイギリス外交――戦後ヨーロッパの形成1945年~1951年』(創文社、サントリー学芸賞)、『外交による平和――アンソニー・イーデンと二十世紀の国際政治』(有斐閣、政治研究櫻田會奨励賞)、『大英帝国の外交官』(筑摩書房)、『倫理的な戦争』(慶應義塾大学出版会、読売・吉野作造賞)、『戦後史の解放I 歴史認識とは何か: 日露戦争からアジア太平洋戦争まで』(新潮選書)など多数。
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