登録した講義を2つか3つ覗いただけで「アメリカの大学教育は」と偉そうなことを言うつもりはない。しかし講義が始まり、実際に教授と顔を合わせて、これは日本とは本質的に違うなと感じずにはいられなかった。
言論の自由について、いきなり学生の意見を聞く。雑誌に記事を投稿させる。それはただ実際的教育であるだけでなく、学生に自分の力でジャーナリズム批判も含めて考えさせる講義だった。
私が日本で受けたのは旧制大学文学部英文科の授業だが、そこには自分で考える余裕がほとんどなかった。教授の知識を分け与えられて英文学を理解するのが教育の目的であり、学生はそれ以上を求められなかった。

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